VOL.8
DILA理事長の佐藤 桂でございます。
前回の「外国語でのコミュニケーションに必要な要素」というコラムにて、⑤マインドセットの切り替え、という項目を記載いたしました。詳細は触れないままでしたが、“マインドセット”とはどのようなことか、皆さまお分かりでしょうか。
お分かりの方には釈迦に説法となってしまいますので、今回のコラムはお読みいただかなくて良いかも知れません。
“マインドセット”とは、「考え方。ものの見方。考え方の枠組み」などを解説されることが多いようです。何となくイメージできますか。
ここで、私がこれまでに体験した3つのエピソードを紹介します。
<エピソード1>
以前の会社でアメリカに駐在時代、同僚の一人に私よりも英語(という語学そのものの力)が明らかに上手くなく、発音は日本語なまりが強く、文法間違いも多々ある方がいました。しかしながら、上手に・格好よく話そうと常に慎重な私を横目に、彼はその“下手な英語”でローカルスタッフと上手く、巧みにコミュニケーションを図り、皆から尊敬もされており、いつも悔しい思いをしました。
<エピソード2>
息子を英語圏の海外に短期留学させ、地元の公立小学校で学習させたことがありました。その際、英語がほとんど分からず、かつ初めての海外で1人であった彼は、緊張もあり最初の数日間ほぼクラス内で無言を貫いたようです。週末をはさみ翌月曜日の朝、彼は絶対に学校に行かない・行きたくない!と泣き叫んだのですが、泣いている彼をそのままクラスに預けさせてもらいました。その結果、泣いている彼を見て、周りのクラスメイトがほぼ初めて彼に近づき声を掛けてくれたそうです。そのことが本当に嬉しかったのか、その瞬間から息子は学校が楽しくて仕方なくなり、毎日嬉々として通学できるようになりました。
<エピソード3>
我が家では毎年、英語圏の若い子をホームステイにて受け入れています。奥さんと比べて英語力(そのもの)は私の方が圧倒的に高く、情報伝達に関して、彼らは私を頼ってきます。しかしながら、いつも受け入れ2日目となると、彼らと奥さんは一気に親しくなり、どんなことも奥さんを頼るようになるのです。なぜでしょう?
奥さんは彼らが家に戻ってくると、「welcome back!」「無事で良かった!」と自然の流れで彼らとハグを交わすのです。“自然に”ハグすることに慣れない、いつも若干の照れが出てしまう私は、いつも奥さんに完敗です。
これらのエピソードに共通することは何でしょうか? 何が必要であったのでしょうか?
どれも英語圏の人とのエピソードであり、他のエリアの方々とのコミュニケーションに全て当てはまるとは言えませんが、これらのエピソードに共通しているのは、
「どんな時でも躊躇せず言うべきことは言う」
「言葉で上手く表現できない場合、単語レベルでも構わないし、泣くという行為でも何でも構わないので、思いを何かの形で表現する」「相手のコミュニケーションスタイルに合わせて、ボディーランゲージを活用する」
つまり、
【自ら意思表現をしなければ、無視され得る】
【相手のコミュニケーションスタイルに合わせることが肝要である】
ということです。
そして、これらに慣れていない人(私自身もです)にとっては、意識的に、ときに無理やりにでも自分を奮い立たせ、コミュニケーションに臨まねばならないのです。
これが、まさに「マインドセットの切り替え」なのです。
いかがでしょうか。多くの方が、多かれ少なかれ、ご経験されていますよね。
大変なこともありますが、その大変さを楽しめるようになれば、素晴らしいですね。
投稿者:
佐藤 桂
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